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なかもとと友かな

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ご存じアプリコット出版筆頭著者。 元AIM English Studio (大阪・堺市)主宰。 Learning World series、『キッズ英語絵本シリーズ』等アプリコット出版刊行物多数。 幼児・小・中・高・大学・大人と全年齢層の英語教育実践家で児童英語教師のカリスマ的存在。 APRICOT児童英語教師養成講座講師。Learning World 認定校スーパーバイザー。
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  • Vol.6 英文読解ってなんですか?  2011年10月

    In the box below, draw two vertical lines to make three new boxes that are the same size.Then draw a horizontal line through the middle of all the boxes.This will make six new boxes that are the same side.

    このような英文を見たら、皆さんはどうしますか。
    日本人の生徒にこの英文を見せた時のことです。 読んでいる様子はありますが、それ以上のリアクションがありません。
    「どうしたの?」と私。「ちゃんと訳せました」と彼ら。
    「だから、それから?」と私が尋ねても、「だから訳しました。訳はこうです。
    『下記の箱の中に,同じ大きさの新しい3個の箱ができるように、垂直の線を2本描きなさい。それから、すべての箱の真ん中を通って一本の平行の線を書きなさい。これは同じ大きさの6個の新しい箱を作るでしょう』 です。完璧!」
    ・・・ 私はますますわからなくなって「だから、どうするの?」・・・
    学生達も混乱して「先生、何が言いたいの? この訳完璧でしょ?」
     
    ここでやっと合点がいきました。学生達はこのような英語の授業を6年間受けてきたのです。つまり、生活の中の言語としてではなく、教科としての英語、言い換えると日本語に訳しても、その“意味”を取らなくてよい英語教育です。だから、「線を描きなさい」という訳はできても、自分達が実際に線を描くことは、彼らには考えもつかないのです。
     
    小学生のクラスで、先生が“Jump!” と言った時、子ども達が身動きひとつせずに「跳べ!」と訳を叫んだら、奇妙ですね。 中学校、高校ではこの奇妙なことが、普通に英語の授業でおこなわれているのです。英文を日本語に訳すだけの授業ではなく、その英文の中の情報をとって理解し、実際に役立てる授業にするべきだと考えた私は、毎回授業に、ノンフィクションの英文を作っていくようになりました。
     
    例えば、“眠りについて”の文を読み、「人間は眠るとどんな現象が起こるでしょう。 現象を3つ英文と日本文で書きなさい」「眠れない時の対処法を4つ英文と日本文で書きなさい」といったような設問を作ります。 
     
    「スコーンの作り方」でもよいですし、「なぜ、うるう年があるのか」「日本の貿易」「犬と泊まれるホテルの規則」でもよいでしょう。 ただし、そのあとの設問は、「(  )の中に適当な英語をいれましょう」や「下線部を訳しましょう」ではなくて、
     
    ・スコーンの作り方を英語で説明(口語)してください。 
    ・うるう年とは何か、どうして必要かを英文で説明してください。 
    ・日本の輸出のトップ5は何ですか。 
    ・犬と一緒にホテルに泊まるにはどんなルールをまもらなければなりませんか。
     
    といった内容に関するものにします。 英語で説明した後は、日本語を使って言わせてみましょう。内容を十分理解した後なので、訳すのではなく、自然な日本語に置き換えることができます。
    “Preheat the oven to 175°C.” 「あらかじめ、オーブンを175度に暖めておくこと!」
    “should be trained not to bark unnecessary” 「無駄吠えしないようにしつけておくこと!」
    ・・・学生達の目が輝いています。

    Vol.5 喧嘩に勝つ方法?  2011年5月

    世の中にはいろいろな対立があります。 国と国との対立、政権の対立、政権内での対立、会社での上司との対立、友人の対立、夫婦の対立など、異なった立場の人がそれぞれの立場による考えを主張し、自分の利益、立場の安定を得るために対立します。 ここで注意しなければいけないのは、対立と議論を混同してはならないということです。
     
    議論とはさまざまな異なる意見に耳を傾け、交換し合い、互いの良い点を構築し、より良い結果を導き出すことですが、対立は互いの弱点を攻め合う結果に陥りやすく、そこには共通のより良い結果が存在しません。ところが、自信(self-esteem)の低い人は相手の悪口を言うことによって自分を安心させようします。相手を批判するのはとても簡単ですが、相手の長所、短所を知り、長所から学び、短所を補いながら現状を改善していくことが大切だと思います。
     
    モンスターペアレントという言葉ができて久しいですが、読者の先生方も、養育者の一方的で妥当性のない批判やクレームに悩まされている方は多いと思います。そして先生方も、そのペアレントを心地よく思っていらっしゃらない場合が多いでしょう。それが対立です。春には先生が親を訴えたこと件もありました。でも、思い出してください。 自信・自尊心(self-esteem)の低い人ほど相手を批判したり攻撃したりするのです。私は、そのような場合、養育者の方にまず、自信を持っていただくように導きます。
     
    「今は、我々が対立している場合ではありません。お互いに手を組んで、○○ちゃんのために頑張る時です」「○○ちゃんがより良くなるため、より安定するためにご家庭として何をするべきか、教師として何をするべきかをタグを組んで一緒に考えましょう」「教師として私は 。。。。のことをしますが、 。。。。についてはお母さんやお父さんの方が断然優れています。ですからご家庭では 。。。。のことをしてください。そしてお互いに情報を交換しましょう」と、微笑みながら提案してみてください。
     
    私が大切にしていることは“Respect others”という言葉です。日本語にすると、「他人を尊重しなさい」という意味です。たとえ自分が何とも思っていなかったことでも、それが人の嫌がることであったり、人を傷つけたりして思いがけない結果を招くことがあります。私は生徒にはわかりやすく次のように説明します。
     
    ・人の嫌がることはしない
    ・人に失礼なことはしない
    ・自分の価値観を押し付けず、人がどう感じるかを考える

     
    そして、他人を尊重できる人が本当に強い人だと話します。その上で、どういう風に言うと相手が自分の意見を理解し、受け入れてくれるかを考えます。この方法が、人を動かしたり、説得したりする最も有効的な方法(攻略法)です。対立せずに、プラス方向に回って行く「流れ」を作ることです。
     
    「相手に勝つには、相手を否定したり、悪口を言ったりするのではなく、相手の良いところを全部受け取って、その上に自分のオリジナルの良いところを1つ付けるだけで良いのです」これは、ビジネスコンサルティング会社の船井総研の船井先生の言葉です。人の悪口や批判が多い人は結局周りから信頼されません。いつもにこにこして、さらっと“勝つ”生き方が好きです。

    Vol.4 「勉強ぎらい」「英語ぎらい」の大学生との1年  2011年2月

    「箸にも棒にも掛からないような俺たちに一年間付き合ってくれてありがとう。先生がいなければ、一生、英語は大嫌いで終わっていたと思う」

     

    後期試験が終わって教室から出ていく時、S君はそう言って握手を求めてきました。野球部の巨漢のA君をはじめ、クラス全員とbig hug!!
    決してレベルが高くない某大学でスポーツ/メデイア専攻の生徒の中で英語のレベルが7クラス中下から2番目のクラスを受け持って1年。 後期の最後の授業です。 勉強大嫌い。テスト大嫌い。4月の最初の講義で学生たちと接してわかったことは、みんな英語が大嫌いで大の苦手。勉強の仕方もわからない。 中学、高校の英語の先生に見放され、苦痛としか思わずに6年間英語の授業を受けてきた学生たち。 必須科目なので全員が、いやいや受講していました。
     

    最初の授業で、私が彼らに約束したのは、「文法、書き換え、スペルのテストはしない」「人と比較しない」「使える英語を学び、共に楽しめるような授業にする」ことでした。
    使用したのは Learning World Book 3。彼らに変化が大きく表れたのは、前期試験以降でした。
     
    前期試験の課題は、
      ・Learning World Book 3 の Achievement Targets を全部クリアすること
      ・クラスの前で、自分と自分の尊敬する人についてスピーチをすること
      ・テキストの各左ページを暗唱または上手に読めるようになること     です。

     

    図7リスト Bk3 アチーブメントターゲット抜粋

     

    APRICOT から発売されているゴールドブルーのシールも駆使しました。“おっさん”に近い体育会系男子学生や金髪、ピアスの女子学生たちが、一生懸命チャンツを暗唱している姿は本当に楽しいものでした。 結果、全員前期の課題を達成!  彼らに自信がつき、それに伴い英語が好きになってきた様子がうかがわれました。
     
    後期になって英文講読を導入しても拒否反応は起こらず、内容に興味を持って英文を読む習慣がつくようになりました。 教材は、学生たちが内容に興味を持つもの、すでに知っている内容の物を毎回手作りで用意しました。 (一番、食いつきがよかったのは、アニメ、ワンピースのキャラクターの説明を英文にしたものでした)。 明け方まで焼き鳥屋とパチンコ屋でアルバイトしているD君、S君をはじめ、全く精気の無い顔をして受講していた学生達が、いつのまにかイキイキした顔で講義を受けるようになり、学習における達成感の重要性、 ラーニングワールドの Achievement Targets が大学生にも非常に有効であることを発見したのでした。
     
    授業が終わると「お疲れーっす!」と教室を出ていく学生たちに、「ちょっと待ちなさい。その言葉は目上の人に言う言葉ではない。“ありがとうございました”でしょう」と注意。授業内容は学生のレベルに合わせても、先生はけっして友人化してはならない。大人の威厳はしっかりと保ち、示すべきです。
    「それでも大学の授業?」なんて言わないでくださいね。 「難解な授業より、学生が少しでもレベルアップする授業を」 それが私の方針です。

    Vol.2 「甘やかす」VS. 「安心させる」  2007 年1月

    昨年から大学院で勉強を始めました。なぜ今さら勉強するのか? とよく聞かれます。教育心理学の理論を勉強することによって、今まで自分が経験を通じて信じてきたことを立証するためです。ずっと、本を書いたり人に講演をしたりと「出す」ことをしていたので、「学ぶ」ことはとても新鮮で楽しみです。
     

    長年、児童英語教育に携わっていますと、子ども達のアサーション、つまり自分の考え、欲求、気持ちなどを率直に、正直に、その場の状況に合った適切な方法で自己表現できる能力の大切さがわかります。我々は英語という「教科」を教えているのではなく「言語」を教えているので、ただゲームをしたりお遊戯をするだけのレッスンではなく、しっかりとした自分の言葉を持つ子ども達を育てなければなりません。子ども達一人一人の日常の行動や考えの規範が重要です。
     

    下の図は、アメリカ、中国、日本の大人を回答者とした「子どもの自由意志」に関するアンケートの結果です。

    1 2 3
    本人の自由 いけない 本人の自由 いけない 本人の自由 いけない
    親に反抗する 79% 21% 15.8% 81.5% 18.8% 80.3%
    学校の先生に
    反抗する
    84.5% 15.2% 16.1% 81.5% 14.7% 84.4%
    タレントの真似 94.5% 5.1% 66% 31.7% 38.5% 61%
    学校の制服の変形 91.6% 8.3% 24% 73% 38.1% 60.9%

     

    例えば1の国では親に反抗することは79%の人が本人(=子ども)の自由で、21%が親に反抗することはいけないと答えていますが、2の国では15.8%が、3の国では18.8%が子どもの自由と答えています。国によって答えがずいぶん異なりますね。
     
    では1、2、3のそれぞれの国名を当ててください。
    …答えは、1が日本、2がアメリカ、3が中国です。
     

    日本の大人が他の2つの国に比べて、子どものしつけに対して非常に甘いことがわかります。よくお母さんから「自立を促すために子どもの意思に任せます」という言葉を聞きますが、これは判断能力がまだできていない子どもに判断させていることになり、逆に言えば親が、子どもを育てる責任から逃れているにすぎません。
    子どもに家庭や社会の規範をしっかりと身に付けさせるのが親の役目です。「良い」親からも「だめな」親からも良い子どもは育ちます。一番いけないのは「責任放棄を“放任主義”と履き違えている親」と「迷う親」なのです。
     

    しっかりとした判断力を持つ子どもに育てるには、まず大人(親、先生、学校)が、何が正しくて何が悪いのかという基準を、責任と自信(権威)を持って子どもに示していくことが大事です。甘やかすという英語はspoilを通常使用します。Spoilは「駄目にする」「腐らせる」という本来の意味を持っていることは、皆さんもご承知ですね。
     

    大学院の学校臨床心理学の授業では、子どもの人格形成は、まず5歳で定まることを学びました。5歳までに家族から100%愛され、受け入れられる経験をした子どもは、その人格にいつでも帰ることのできる「枠」ができるそうで、その枠ができていれば成長過程で不登校や社会不適合な行動が起こってきても、必ず直るそうです。また教育心理学特論では、対人関係能力調査で、自分の家族に対して肯定的な安心感を持つ子どもは、他者を受容する能力が育つことを学びました。
     

    最近、 「しつけ」と称する子どもへの虐待が問題になっていますが、幼い時に親がきっちりとした“心のhome”(子どもにとって親という名のシェルターかもしれません)を作り、その上でしつけをしなければなりません。私も過去30年間、子ども達を叱るには、まずその子とのゆるぎない信頼関係を築いた上で、叱ることを実践してきました。
    23、24歳の大学院生の皆さんと机を並べつつ、「ふん、ふん、やっぱりそうか!」と1人、にんまりしながら授業を受けています。

    Vol.1  「あぁ、私の元太くんが壊れていく・・・」  2008年1月

    AIMを“卒業”した私は大学院に通う傍ら、自宅で中学生を3人だけ教えています。丸いダイニングテーブルに3人が、私から同じ距離で座ります。均等にそれぞれを教えられるのは定員3人だと思っています。
     
    “Scaffolding ”という言葉を教育学を専攻した人ならだれでもご存知だと思いますが、一人ひとりの生徒の能力、性格、環境までを把握し、それぞれの子ども達が自分のペースで一歩一歩進んで行く“足場”を作ることです。生徒一人ひとりへの教え方、課題の難易度が違って当然です。
    「scaffoldingが自分の満足のいく質で行うことができる人数は3人」。これが私の結論です。ごめんなさい。小学校の先生や塾の先生から「何を夢みたいなことを言ってるんだ!」とお叱りを受けそうですね。卒業後の私のささやかな楽しみですのでご容赦ください。
     
    さて話は元にもどります。「私の大切な元太くんが壊れていく…」
    元太くんは小学1年生の時から英語を習っています。5年で英検5級に合格しました。リスニング、スピーキングにおいては、4級以上の実力があると思います。ところが、私立の中学に入ってからは、文法やスペリングを山のように覚える授業が続きます。その後、クイズのような問題満載のテストが待っています。
     
    「彼女はだれですか」をいう問題を見て「あれ? さっきは、Who is this? で正解だったのに、下線が2つしかない!」と元太くん。「そうね。だからWho is をWho’sに省略しなければ書くことができないね」と私。「どっちでも同じ意味なのに。どっちでも正解なのに」と元太くん。
     
    「下線部が答えの中心となる疑問文を書きなさいってどういう意味?」
    My name is Ann Green.の下線部を問うという問題が理解できなかったようです。私が説明すると、「??…最初から名前はAnn Green とわかっているのに、なぜわざわざ質問するの?」…
     
    次の問題は「下線部を複数形にして書き換えなさい」That boy isn’t my brother.
    「まず、boyをboysに替えると、thatがthoseになり、isn’tもaren’t にしなければいけないし、あっそうだ、brotherもbrothersにしなければいけない」と元太くん。
    このような問題ばかりをしていると、だんだん頭がこんがらがってきて、たいてい1箇所か2箇所は間違ってしまいます。
     

    次の質問文に対する正しい答えを選びなさい。
    Does Mary like science?

    【1】 Yes, she is.  【2】 Yes, she does.  【3】 No, she don’t.

    つい最近までこのような問題で、「だいたい、メアリーってだれかわからないのに理科が好きかどうかわかるはずがない!」と文句を言っていた元太くん、中学で英語の勉強をするようになってまだたった3ヶ月なのに、もう、「先生、doesがついていたら、doesがついている答えを探せばよくてあとは何が書いてあっても見なくてもいいんだよ!」と自慢気に言うようになりました。
     
    私と同じように大学院で勉強をしている北村先生(元私立小学校英語講師、現吹田市英語教育アシスタント)と共に児童英語教育を5年以上受けた中学1年生を対象にアンケート調査をしたところ、小学校の時英語が得意だと思っていたのに、中学入学後にそう思えなくなったという生徒が全体の34%もいました。
     
    中学英語ってなんだろう。元太くんには言語としての英語の実力は十分あります。彼にLearning World for TomorrowのUnit 1-3のリスニングテストをしたところ、まさに“a piece of cake”
    いとも簡単に全問正解しました。でもその実力を壊していくような授業が続きます。そして残念なことに1学期が終わった今、彼はすっかり中学英語に慣れてしまい、英語が言語であることを忘れ始めています。元太くんが壊れていく!
    日本の英語教育は本当にこれで良いのでしょうか。

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