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なかもとと友かな

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ご存じアプリコット出版筆頭著者。 元AIM English Studio (大阪・堺市)主宰。 Learning World series、『キッズ英語絵本シリーズ』等アプリコット出版刊行物多数。 幼児・小・中・高・大学・大人と全年齢層の英語教育実践家で児童英語教師のカリスマ的存在。 APRICOT児童英語教師養成講座講師。Learning World 認定校スーパーバイザー。
  • Vol.24 Phonics (フォニックス)ってなんだ?    

    英語教材、英語スクールのパンフレット、教育委員会の資料、英会話学校のスクール名に最近フォニックスという言葉を目にしたり、耳にしたりすることが多くなりました。

    児童英語教育成功のマジックワードのようなその扱いに、疑問を抱いてしまうのは私だけでしょうか。

    「フォニックスとはなんですか」とたずねると、 英語教育に従事している人なら大抵は「英語の綴り方と音の規則」だとお答えになるでしょう。そう“正解”です。 Wikipedia では次のように書かれています。 「フォニックス(英: Phonics)とは、英語において、綴り字と発音との間に規則性を明示し、 正しい読み方の学習を容易にさせる方法の一つである。英語圏の子供や外国人に英語 の読み方を教える方法として用いられている。」 

    ひらがな、カタカナ、アルファベットは表音文字ですが、ひらがな、カタカナは一字で一音節を表す音節文字であるのに対し、英語のアルファベットは、原則として1字が1音素・1単音を表す音素文字です。そして字(letter)の並び方によって、音が異なる場合が少なくありません。 英語の文字は、日本語のようにひらがな、カタカナ、漢字(表意文字)と多くの種類があるわけではありませんが、英語を母国語とする年長児、小学低学年児でも、読むこと(音読)するのに苦労する子供が多いのです。フォニックスは英語を母国語としていて、日常生活の中で、音として多くの言葉をすでに習得されている子供達が

    その規則を知って、音読できるようになったり、書くことがたやすくなったりするために有意義な結果を出しています。

     

    フォニックスの基本的なフォニックスのルールを次に記します。

    1. Every word must contain a vowel. The vowels are: a, e, i, o, u,
    2. When a syllable ends in a silent “e,” the vowel that comes before the silent “e” is long.    Eg: lake  kite  rope  use:
    3.  When a one syllable word ends in a consonant and has only one vowel, that vowel is short. Eg: mat, red, fish, rug, pink
    4. When a syllable has 2 vowels together, the first vowel is usually long and the second is silent. “when two vowels go walking, the first one does the talking.” Eg: “rain, meat, coat, bee, tie snow
    5. Qu are always together. Eg: queen, quarrel, quick, quiet
    6. When “g” is followed by “e, i, or y,” it usually has the soft sound of “j.” Eg: gym
    7. When “c” is followed by “e, i, or y,” it usually has the soft sound of “s.”Eg: city, cent
    8. When 2 consonants join together and form one new sound, they are called ‘consonant digraphs’. They count as one sound. Eg: “ch, sh, th, ph, wh”.

    これを読むと、たしかに規則だということがお分かりでしょう。 しかし、日本では、アルファベットの持つ音を教えることをフォニックスだと勘違いしてい場合が多く見受けられます。 音素文字としての個々の音を教えることは大切です。 A a,a,a apple, B, b b bear など アルファベット文字の名前を教えるだけではなく、音を教える方も重要です。(アプリコット出版の英語絵本abcd Chants参照) が、それはフォニックスではありません。英語の音の教育です。 ですから、フォニックスを教えて発音が良くなるとか、英語が話せるという考え方は正しくないでしょう。

     

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    dで始まる語彙5つと、A dinosaur dancing in a dark night. の文が印刷されています。

    ♪♪左ページ:Big d, little d, ddd, dog, doll, ddd. dance, dark, dinosaur.  

           A dinosaur dancing in a dark night.  (チャンツde絵本Vol.1 abcd Chants より)

    聴いたことを正しく再生する素晴らし能力を持っている幼児、小学生低学年児には、規則を学習させるより、しい音を聞かせる方がよほど重要なのです。早期英語教育で発音がよくなるのはフォニックスではなく、音のシャワーを浴びるからです。 ましてや、フォニックスを教えるために新しく英語の語彙を教えるなんて本末転倒です。

     

    そして、もっと重要なことは、英語を音読できることは、一つのステップかもしれませんが、英文から情報を得て、そこから自分の考えや意見を構築して、人に書いたり、話したり、又は人の意見を聞いて話し合う力の育成がもっと重要なのです。 幼い子供には無理だって? そんなことはありません。 幼い頃から、英語を規則のかたまりとして教えるより、自己表現としての手段として教えることによって、中学生、高校生になると英語を読み、書き、聴き、話すことから人とコミュニケーションがとれる人材が育つのです。

    フォニックスがいけない訳ではなく、言語としての英語を十分に身に付けて、読むことに興味が出てきたときに、時間をかけすぎずに導入することが大切です。

     

    フォニックスを小学校1年から導入して、小学校6年で英検3級目標なんていう教育方針を掲げている市、フォニックスを通してコミュニケーション能力向上なんて文字を見るたびに私は首をかしげるのです。

     

    ■フォニックスの「ちょうどいい」教え方はコチラから (アドバイスBOX 教材選びのコツへ!)

    Vol.23     ことばはむずかしい。

    大学での講義やアプリコット出版主催の「児童英語教師養成講座」、その他いろいろな機会に講演及び講義をさせていただくことがありますが、その度に、自分の考えを正しく人に伝えることの難しさを実感します。人はあることを聞いても、自分のこれまでの経験を通じて理解しようとします。講演を聴いてくださっているさまざまなback groundを持つ皆さんに、どのような言葉や説明、図、例を示して話をするとわかってもらえるのか悩み抜きます。 講演でも講義でも話すことが目的なのではなく、皆さんに理解していただくことが目的だからです。特に、それまでみんなが当然と思っていたこと(私の場合は英語教授法)の定石を崩し、新しいことを示す時、その難しさを痛感します。それだけに、聞いてくださっている方々の目が急に輝き、「あぁ、そういうことだったんだ」と大きくうなずく顔を見たとき、本当に嬉しくなるのです。

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    日本の英語教育が効果を出していないのは、教師のみならず、誰もが周知しています。 でもどこが間違っているのかが具体的にわからない。しかし、どこが間違っているのかがわからないと改善のしようがない。私は、英語テキスト(Learning World シリーズ)の著者として、従来の日本の英語教育の問題点を一つ一つあぶり出し、なぜ間違っているのかを分析し、改善案を示し、それを皆さんに理解していただくことが自分に与えられた仕事だと思っています。

     

    日本では英語を教える時に、“What is English”つまり、英語とはどんなものなのかを教え、「英語とは言語であって、コミュニケーションや思考の手段であること」を教えてきませんでした。私がたびたび講演でお話しする例を2,3挙げてみましょう。下記の問題は中学校でよく出てくる問題です。

     

    ■次の文を否定形にしなさい。

      ・Tom’s mother likes hamburgers.

      ・My sister lives in Hokkaido.

      ・Mr. Brown plays basketball.

      ・Mrs. Smith speaks English.

      ・Jim and I want a new computer.

     

    この問題のどこが悪いのでしょう。 三人称単数現在の動詞の定番の問題が並んでいますね。

    しかし、この問題は英語の規則のdrill であって言語の練習ではありません。解答者はトムのお母さんがハンバーガーが好きかどうか知らないし、ましてやTomってだあれ?

     

    三人称単数現在の動詞の問題を出すなら次のように出すと、否定形にする必然性があります。

    次の文を、否定文にする必要があれば変えた文を、変える必要がなければその文を書きなさい。

    ・My mother drives a car.

    ・January has 31 days.

    ・The sun goes around the earth.

    ・A male mosquito sucks human blood.

    ・The sun rises in the east and sets in the west.

    ・The school year starts in April in Japan.

    ・The school year starts in April in Australia.

     

     

    次に関係代名詞の問題。

    ■次の2文を関係代名詞を使って一つにしなさい。

    The man is our new English teacher.

    He is wearing a black cap.

     

    よくある問題ですね。 しかし、2文を1文にする必然性がありません。

    この文を次のように変えたらどうでしょう。

    A: The man is our new English teacher.

    B: Which one?

    A: The man who is wearing a black cap.

    B: Oh, I see.

     

     

    次に、高校生くらいのlistening (または readingでも可) の問題を例に挙げましょう。

    『Headway 2』(Oxford University Press) の中から文を引用しました。

    My uncle owns a general store in a small town north of Boston.  The store sells a lot of things― bread, milk, fruit, vegetables, newspapers, tools, videotapes― almost everything!  It is also the town post office.  The children in the town always stop to buy candy or ice cream on their way home from school.

    My uncle doesn’t go out of town very often.  He doesn’t like to drive, so once a month he goes by bus to the next town and has lunch at a nice restaurant with some friends.  He is one of the happiest men I know.

     

    ■従来の設問

       1.Where does the uncle live?

       2. What does the store sell?

          3. What do the children buy at his store? 

          4. Does he drive a car? 

         5.  How often does he go to the next town?

         6.  Why does he go there?

    He is one of the happiest men I know. の文章には関係代名詞が省略されています。

    正しい関係代名詞を入れて文を書きなさい。といった問題が従来の問題でした。でも、普通これを読む生徒は、このおじさんが何を売ろうが、どこに住もうがあまり興味がありません。ですが、このスクリプトの問題を次のようにしたらどうでしょう。

    Do you think he is happy, too?  If you think so why?

    この質問で初めて生徒はこの文を自分に関係する文だと気づき、その理由を説明するために内容を理解し覚える必然性が生まれるのです。

     

    限られた例でしたが、従来の英語教育の問題点(落とし穴)とその改善方法の一端をご理解いただけましたでしょうか? あまりよくわからなかった?…ごめんなさい。どう説明したらご理解いただけるか、また頭を抱えて悩み続けます。ことばはやっぱりむずかしい!

    Vol.20 日本人の英語運用能力があがらない理由   

    現在、京都ノートルダム女子大学とアプリコット出版主催の「児童英語教師養成講座」で児童英語教育の教育法の講義を持たせていただいています。 両者とも講義の初日に必ず行うことがあります。 養成講座を受講された方はもうお分かりだと思いますが、「なぜ、中学、高校と6年間、少なく見積もって中学校で310時間 (週3回50分授業42週×3)、高校では400時間くらい英語を勉強しているのに、どうして日本人の英語の運用能力が上がらないか」を受講者全員でブレインストーミングするのです。

    児童英語教育のワークショップでは、明日の授業で使うことが出来るゲームや歌を紹介することが多いですが、私は、日本の英語教育が効果を出していない原因を理解せずに、児童英語教育を始めても仕方がないと思います。少なくとも高校3年終了時の具体的な目標を持たず、「小学生だから、楽しく英語で遊びましょう」という現在のカリキュラムでは、日本人の英語運用能力の向上は望めません。

    話題を戻しましょう。ブレインストーミングは、皆さんの実際経験した身近な例を積み上げ、分類し、分析するKJ法を使います。 なぜ、KJ法を使うかといいますと、この問題(英語運用能力が身につかない)は、その原因をみんな頭ではわかっていても、それがなぜか机上の空論になり、実際の英語教育の改善に反映されてきていないからです。できるだけ本当(Authentic)の、身近で具体的(pragmatic)な例を集めて、そこから受講の皆さんに英語教育の問題点と改善法を具体的に理解していただきたいのです。KJ法は小さなポストイットの紙に、なぜ英語が使えないのかの具体的な例を1行にまとめて、1人20~30例を書いていただきます。1行にまとめる理由は、2行以上になると1つ1つの例の焦点がぼけてしまったり、複数の例をまとめて書いてしまったりするからです。例えば「英語の先生が嫌いだった」「英語の先生の発音が下手だった」「英語を話す機会がなかった」「書き換えテストが嫌い」「単語のスペルテストがいやだった」「なぜ、勉強するのかがわからなかった」などです。これをグループで持ち寄り、例を分類し、分析します。その後作成したポスターと共に発表していただきます。

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    「なぜ、日本人の英語運用能力が上がらない理由」の分析の結果をまとめると大体どのグループも次のようになります。

    社会的側面:

      • 必然性に対する認識が薄い
      • 多言語社会ではない (話す機会が少ない)
      • 具体的且つ実質的な到達度の指標がない

    情意的側面:

      • 積極性に乏しい
      • 英語を話すことに対するやっかみ
      • 人と違った事を言う(する)ことに消極的
      • 自分の意見を持たない、または表出しない
      • 自分の意見を発表する訓練が行われていない
      • 異なるものと共存する環境でない

    教育的側面:

      • 教師の英語運用能力が低い

    教授法的側面

      • 言語ではなく教科
      • 日本人講師が作る日本人生徒しかわからない試験問題
      • 使う必然性のないパターンプラクティス
      • 場面が生徒の生活に則していないダイアログ
      • 目的の解からない書き換え問題
      • 長文読解と呼ばれる部分訳

     

    そして、この一つ一つの問題をどう解決していくか、児童英語教育はどうあるべきかを具体的にお話し、実践することで、私の児童英語教育論が始まり、国際語としての英語、つまり英語を話す機会が少ない環境での英語教言語教育の具体的提案、その時の教師のあり方、到達度評価のあり方などに発展していきます。

    今回、このエッセイで何故このテーマで書いたかといいますと、たぶん日本人全員が従来の英語教育では英語運用能力が身につかないことは承知しているのに、依然として機械的なダイアログ、文、単語の暗記のみの授業があまりにも多いことにうんざりしているからです。 暗記のさせ方にどれだけ遊びが入っていても、暗記は暗記だけです。もちろん言語教育にはinputが重要な役割を担っています。しかし、そのinput だけが重要視されてきた結果が、今の「運用力の低さ」につながることがどうして、わからないんだろう。。。。。。。。。。。。。。。

     

    【追記】2015年6/20、21の2日間、東京駅近くの会場で「養成講座」が開催されました。上の写真はその時の様子です。前年度同様、最初は緊張の面持ちでお集まりになった先生方も、グループワークや2日目のランチ懇親会で一気に打ち解け、Akikoさんのタスクでは渾身の演技?を見せてくださいました。 (by 養成講座係)

    Vol.17 ”脱immature” 英語教育編  

    「脱immature 英語教育編」を書くにあたって、immature の意味をCambridge Advanced Learner’s Dictionary で調べてみました。
    not behaving in a way that is as calm and wise as people expect from someone of your age:

    このage というのは日本国内の同年代というより、国際的にみた同年代と考えてください。
     
    自書の実践家からの児童英語教育法(2003年初版発行/アプリコット出版) に、鈴木孝夫先生の御著書『日本人はなぜ英語ができないか』から引用させていただいた文があります。(pp.6-7)
     
    「したがってこれからの外国語教育は、何よりもまず日本人としての、自分の借りものでない意見や考えを外に向かって外国語で立派に言える人、日本に固有な事情を外国人に説明して、しかも相手を説得できる人を養成する、外向きで積極的な発信型へと重点を移す必要があります。これができて初めて日本人は英語が上手だと言われるようになるのです。 それと同時に、日本語で書かれた各種の情報を素早く、しかも大量にいろいろな外国語に翻訳して海外に出せる体制を、国家としても、また大学としても急速に整えることが絶対必要です。」
    そして次のように締めくくっていらっしゃいます。
     
    「さてこのような目的にむかって学生を指導できる外国語の先生が今何人いるでしょうか」

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    この本は1999年に初版が発売されました。今から16年前です。16年間の間に日本の英語教育、英語教師は改善したでしょうか。
     
    英文法は確かに必要です。しかし、意味のない書き換えや一部訳の繰り返しでは、英語という言語の構造は学ぶことができても、それを国際的な場面で使うことはできません。
    こういったことを書くと、「“自己主張の強い、相手を言い負かす子供”を育てるつもりですか」といった誤解を受けることがあります。そうではなく、自分の明確なな意見を持ち、それに責任を持ち、相手の立場を理解した上に相手を説得する力(相手に理解してもらう力)が大切なのです。
    では、児童英語教育の段階で何を教えていく必要があるのでしょうか。同じく『実践家からの児童英語教育』に次のように書いていますので、参考になれば幸いです。
    「外国人講師が日本の子供達に英語を教えてまず驚くのは、自発的に発話する子供があまりに少ないことです。沈黙が続き、ただひたすら順番が次の人に移ることを待っている子供達が大多数です。この沈黙が「答えが解らない沈黙なのか、講師の質問の意味がわからない沈黙なのか、考えている途中なのか、講師と話したくない沈黙なのか、授業を受ける気が無い沈黙なのか、全く理解できない」と外国人講師はとまどいます。この、子供達にとって最初ともいえる国際の場の奇異に見える状況を打破するには、英語力如何の問題以前に、授業の中での心得が大切です。

     
    日本の子供達に徹底すべき「コニュニケーションのための心得」
    1. 沈黙はゆるさない。 I don’t know. I am thinking. I don’t understand. I forgot. などを使って表現すること

    2. 理解できないのは個人の責任である
       ・理解できないことがあれば、どこが解らないのか自分で考えること
         ・理解できないことがあれば、必ず質問すること
            What is… in Japanese? What does it mean?
             講師は質問のない時は全員理解しているものとみなす。

    3. クラスの全員に聞こえる大きさの声で話すのは話し手の責任である

    4. 聞こえない時、「聞こえないと」言わないのは聞き手の責任である
           (この時、丁寧な言葉を使うことは言うまでもありません)
           “Once more, please.” “(Will you say it again in )louder (voice) please.”

    5. 手を挙げるときは、相手(指導者)がはっきりとわかるように手をあげること
          自らの意思表示がない時(生徒が手を上げない時)は、あててほしそうな顔をしたり、
          目で訴えても、指導者はその子をあてない

    6.評価は「自己内評価」及び「到達評価」でおこない、人とは比べない

    7.自己の到達度を生徒自身に把握させ、自己責任を持たせる

    8.人の答え(発言)を尊重すること。たとえ間違った答えや意見であっても笑うことは許さない
     
    これらの事項が指導者と学習者の間に信頼関係があって初めて成り立つことは言うまでもありません。怖い先生ではなく、厳しいけれどしっかりとした理念と子供達に対する愛のある先生になりましょう。普段の授業の中でこれらの心得を積み重ねていくことが、国際社会でコミュニケーションをおこなう上で、ほぼ単一民族からなり、お互い甘えあっていても社会が成り立つ日本人の不利な点を改善していくことにつながるのではないでしょうか。子供達をmature にしたいと願う毅然とした態度が必要です。
     
    『実践家からの児童英語教育法』 という本は、私が英語教育の目的を「国際的に活躍する人間の育成」とし、その手段の分析を通して児童英語教育の範囲で具体的に何をするべきか、何が無駄なのかをまとめたものです。「理論からの実践」ではなく「実践から生み出された理念とその理念に基づいた実践集」です。幼児・児童英語教育がただ単なる「英語のお遊び」で終わることがないように願っています。

    Vol.13 APRICOT REUNIONのつどい  

    2000年にアプリコット主催の児童英語教師養成講座が始まり、本年で13年。 修了生も200名を超えました。第1回目から講師を務めさせていただいています。その初期の講義内容をまとめたものが、『実践家からの児童英語教育法』(2004年)全3巻です。私の持論である「レッスンには“言語目標”だけではなく、“コミュニケーション育成のための目標”を必ず設定しなければ使える英語は習得できない」を具現化し、本の中で紹介した活動はすべて“言語目標”と“コミュニケーション能力育成目標”の両方を持つように構成しています。

    大学でも児童英語教育の講座を持ちますが、私の児童英語教師養成講座は、受講対象者がプロの先生でも、大学生でも、必ず「日本の英語教育の失敗の要因」の分析のブレインストーミングから始まります。
    ただ単に幼児、児童のための楽しい歌やゲームを教えても、 中学・高校・大学の英語教育の失敗を理解し改善方法を考えることをせずに小学生に英語を教えても、失敗の教育を早めるにすぎないからです。
    毎回、受講の皆さんが結論づけるTOP3は次の3つです。

    1. 言語としての教育がなされていない。
    2. 英語を話せない(運用できない)先生が多い
    3. 英語の必然性に対しての認識が低い

     

    講義はその後、言語の教え方、教師のあり方、評価等に進んでいきます。

    今年度はAPRICOT PLAZAの日に、東京と大阪で「児童英語教師養成講座」修了生のREUNION & Learning World 認定校の先生方との親睦会が開催されました。

    久々にお会いした先生方は、皆さん第一線で活躍されていて、嬉しい限りです。養成講座終了後、大学院に進まれTESOLの修士を取った方が多いのにも驚きました。その中で大阪、東京共に3人の先生方に、シンポジウム「私の英語教育と今後の英語教育の在り方」のパネラーとして参加していただきました。
    東京のパネラーのお一人、土肥妙子先生は日本の英語能力についての意識の低さをデータを示して分かりやすく説明してくださいました。
    ・韓国のサムソンの管理職に求められるTOEIC点数は920点、
    ・日本のSONYの 管理職に求められる点数は600点。
    ・サムソンの新入社員に求められる点数は900点(求めるTOEIC スコア一覧表(2011年1月版)より)。

    一方、2005年7月18日付の読売新聞によると、TOEIC 730点以上は中学英語教員で8.3%、高校の英語教員16.3%だそうです。
    また、東京・大阪会場共にパネラーを務めて下さった石川県の英会話学校イエローハウスのKierryn Bowring先生は、ご出身のオーストラリアの公的学校の教師研修制度と比較してお話しされ、 学校での雑用を事務のプロに任せ、先生方の担当科目の自己啓発、スキルアップの研修の必要性を提案されました。
    日本の英語教育はまだまだ改善の余地がありますね。

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