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なかもとと友かな

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ご存じアプリコット出版筆頭著者。 元AIM English Studio (大阪・堺市)主宰。 Learning World series、『キッズ英語絵本シリーズ』等アプリコット出版刊行物多数。 幼児・小・中・高・大学・大人と全年齢層の英語教育実践家で児童英語教師のカリスマ的存在。 APRICOT児童英語教師養成講座講師。Learning World 認定校スーパーバイザー。
  • Vol.17 ”脱immature” 英語教育編  

    「脱immature 英語教育編」を書くにあたって、immature の意味をCambridge Advanced Learner’s Dictionary で調べてみました。
    not behaving in a way that is as calm and wise as people expect from someone of your age:

    このage というのは日本国内の同年代というより、国際的にみた同年代と考えてください。
     
    自書の実践家からの児童英語教育法(2003年初版発行/アプリコット出版) に、鈴木孝夫先生の御著書『日本人はなぜ英語ができないか』から引用させていただいた文があります。(pp.6-7)
     
    「したがってこれからの外国語教育は、何よりもまず日本人としての、自分の借りものでない意見や考えを外に向かって外国語で立派に言える人、日本に固有な事情を外国人に説明して、しかも相手を説得できる人を養成する、外向きで積極的な発信型へと重点を移す必要があります。これができて初めて日本人は英語が上手だと言われるようになるのです。 それと同時に、日本語で書かれた各種の情報を素早く、しかも大量にいろいろな外国語に翻訳して海外に出せる体制を、国家としても、また大学としても急速に整えることが絶対必要です。」
    そして次のように締めくくっていらっしゃいます。
     
    「さてこのような目的にむかって学生を指導できる外国語の先生が今何人いるでしょうか」

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    この本は1999年に初版が発売されました。今から16年前です。16年間の間に日本の英語教育、英語教師は改善したでしょうか。
     
    英文法は確かに必要です。しかし、意味のない書き換えや一部訳の繰り返しでは、英語という言語の構造は学ぶことができても、それを国際的な場面で使うことはできません。
    こういったことを書くと、「“自己主張の強い、相手を言い負かす子供”を育てるつもりですか」といった誤解を受けることがあります。そうではなく、自分の明確なな意見を持ち、それに責任を持ち、相手の立場を理解した上に相手を説得する力(相手に理解してもらう力)が大切なのです。
    では、児童英語教育の段階で何を教えていく必要があるのでしょうか。同じく『実践家からの児童英語教育』に次のように書いていますので、参考になれば幸いです。
    「外国人講師が日本の子供達に英語を教えてまず驚くのは、自発的に発話する子供があまりに少ないことです。沈黙が続き、ただひたすら順番が次の人に移ることを待っている子供達が大多数です。この沈黙が「答えが解らない沈黙なのか、講師の質問の意味がわからない沈黙なのか、考えている途中なのか、講師と話したくない沈黙なのか、授業を受ける気が無い沈黙なのか、全く理解できない」と外国人講師はとまどいます。この、子供達にとって最初ともいえる国際の場の奇異に見える状況を打破するには、英語力如何の問題以前に、授業の中での心得が大切です。

     
    日本の子供達に徹底すべき「コニュニケーションのための心得」
    1. 沈黙はゆるさない。 I don’t know. I am thinking. I don’t understand. I forgot. などを使って表現すること

    2. 理解できないのは個人の責任である
       ・理解できないことがあれば、どこが解らないのか自分で考えること
         ・理解できないことがあれば、必ず質問すること
            What is… in Japanese? What does it mean?
             講師は質問のない時は全員理解しているものとみなす。

    3. クラスの全員に聞こえる大きさの声で話すのは話し手の責任である

    4. 聞こえない時、「聞こえないと」言わないのは聞き手の責任である
           (この時、丁寧な言葉を使うことは言うまでもありません)
           “Once more, please.” “(Will you say it again in )louder (voice) please.”

    5. 手を挙げるときは、相手(指導者)がはっきりとわかるように手をあげること
          自らの意思表示がない時(生徒が手を上げない時)は、あててほしそうな顔をしたり、
          目で訴えても、指導者はその子をあてない

    6.評価は「自己内評価」及び「到達評価」でおこない、人とは比べない

    7.自己の到達度を生徒自身に把握させ、自己責任を持たせる

    8.人の答え(発言)を尊重すること。たとえ間違った答えや意見であっても笑うことは許さない
     
    これらの事項が指導者と学習者の間に信頼関係があって初めて成り立つことは言うまでもありません。怖い先生ではなく、厳しいけれどしっかりとした理念と子供達に対する愛のある先生になりましょう。普段の授業の中でこれらの心得を積み重ねていくことが、国際社会でコミュニケーションをおこなう上で、ほぼ単一民族からなり、お互い甘えあっていても社会が成り立つ日本人の不利な点を改善していくことにつながるのではないでしょうか。子供達をmature にしたいと願う毅然とした態度が必要です。
     
    『実践家からの児童英語教育法』 という本は、私が英語教育の目的を「国際的に活躍する人間の育成」とし、その手段の分析を通して児童英語教育の範囲で具体的に何をするべきか、何が無駄なのかをまとめたものです。「理論からの実践」ではなく「実践から生み出された理念とその理念に基づいた実践集」です。幼児・児童英語教育がただ単なる「英語のお遊び」で終わることがないように願っています。

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