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なかもとと友かな

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ご存じアプリコット出版筆頭著者。 元AIM English Studio (大阪・堺市)主宰。 Learning World series、『キッズ英語絵本シリーズ』等アプリコット出版刊行物多数。 幼児・小・中・高・大学・大人と全年齢層の英語教育実践家で児童英語教師のカリスマ的存在。 APRICOT児童英語教師養成講座講師。Learning World 認定校スーパーバイザー。
  • Vol.29 正確な日本語?  

    英語のテキストや指導書を書いたり、大勢の人の前で話す仕事をしていて、いつも心に留めているのは「平易な言葉を使う」「その題材に詳しくない人にも理解できるように話す(書く)」ということです。ですから、語彙の意味や文章を推敲し、出来る限り、「なんとなくわかったつもり」になっていただくのではなく、「且つ的確に意図が伝わる」よう熟考します。話す場合はそれに加えて、与えられた時間内に終わることも重要になってきます。どんな素晴らしい内容の講演でも、次の演者や進行役に迷惑をかけ長々と話されると興ざめします。

     

    執筆中の新刊はようやくテキストのゲラもできて、指導書の執筆を始めました。Learning World 4 Bridge では「文法用語を使わずに、小学生が文の規則を楽しく理解できる」ことを目的にしていますので、指導書だけではなくテキストのイラストのキャラクターのセリフ1語1語にも神経を使います。

     

    日本語はあいまいな言い回しが多いので、私は英訳する前にまず日本語を理路整然と意味が通るように書き直してから英語に置き換えます。英訳をする機会の多い方は、日本語で読んでわかっているつもりでも、英語に書き換える場合に日本語のあいまいさに気付かれることがあると思います。

     

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    そんな中、私がずっと疑問に思っていたことは、所属しているフィットネスセンターのインストラクターの言葉です。

    「腹式呼吸をしましょう。おなかに空気を思い切り入れて膨らましましょう!ハイ!空気を入れて!」

    ここで私はパニックに陥るのです。「えっ?肺以外におなかの中に空気が入るところがあるの?」「魚じゃあるまいし体の中に浮き袋があると思えない!」「たとえ胃の中に空気が入ってもゲップが出るだけでしょう」「えっ?えっ?どこに空気を入れるの?」もう運動どころではありません。周りを見るとみんな真剣にエクササイズ中。「なぜ?」といろんな人に尋ねても、だれも疑問を持っていないみたいです。「歌を歌う時は必ずおなかに空気を入れて響かすの。それくらい知らないの?」と馬鹿にされることもしばしば。たぶん日本人成人の1/3はおなかに空気が入ると思っているかも。

     

    そこでまず「おなか」とは何かを調べました。

    おなか(腹腔)とは胃や腸が位置する体の前方を意味し、肺腔の下に位置し肺腔とは横隔膜で隔てられている。肺の入っている肺腔は主に助骨とそれを支え動かす筋群および横隔膜で構成されていて、息を吸う、すなわち肺腔を広げるには、助骨を開き広げるか、横隔膜を収縮して下げればよい。横隔膜を大きく動かすと腹腔が変形し腹が前方へ膨らむ。腹式呼吸とは助骨を開くのではなく横隔膜を収縮させて行うため、腹が前に出てあたかも 腹に空気が入っているように感じる。(Wikipedia調べ)

    うーん。この 「あたかも」 がみそだ!

     

    英語で書けば、Diaphragmatic breathing, abdominal breathing, belly breathing or deep breathing is breathing that is done by contracting the diaphragm, a muscle located horizontally between the thoracic cavity and abdominal cavity. Air enters the lungs and the belly expands during this type of breathing.  です。これでやっと理解できた!

     

    もう一つ、私がパニックに陥るのは運転免許更新の時の信号の色を使った色覚検査です。

    「信号の色は赤、青、黄色です。光った信号の色を教えてください」と警察官のお兄さん。

    赤はわかります。でも…どう見てもあれはgreen 、そしてorange または amber. もちろん私でも日本では昔から緑を含む青を、蒼とか藍とあらわす文化があることくらい、理解しています。でも、とっさに光るライトを目の前にして、あれはどう見ても、greenであって青ではない!!!

    そのうちに焦ってパニックに・・・。

    自宅に帰って、その顛末を息子に、「絶対に私は”色弱“と書類に書かれたと違いないわ」と話すと、息子は「いや、頑固者と書かれたと思うよ」

     

    皆さん、日本語の持つ美しきあいまい文化も、理路整然とした構造を持つ英語文化も、それぞれ大切にしましょう。

     

    (追) 日本に初めて信号機が紹介された昭和5年の時点では、法令で緑でしたが、その色を「あお」と呼ぶ人が多く(諸説あり)戦後昭和22年に「あお」に法令で変更したそうです。

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