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スーパー英語教師うるとらうっち~のてんこもりブログ

Learning Worldシリーズの中でself-esteemはどのように育まれていくのか

Learning Worldシリーズの著者である中本幹子先生は、「日本人としての個の確立、個人としての個の確立、self-esteem(自尊感情)が言語学習上で不可欠」だと言っています。ですから、Learning Worldシリーズの中には、self-esteemを育む活動が随所に散りばめられています。しかし、指導マニュアルの中には、具体的にどの活動がself-esteemをどう高めるのかということは、書いてありません。

 

中本幹子先生が常日頃から言っていることは、生徒のself-esteemを高めることは、教師として当然の仕事。授業もそれぞれのニーズに応じて、教師が自由な発想で組み立てるべき。だから、指導マニュアルには最低限やるべきことは書くけれども、それ以上のことは書かない。

 

つまり、中本先生は指導マニュアルを叩き台にして、教師自身が様々な工夫を凝らしながら、生徒が必要とする英語力を身に付けさせると同時に、self-esteemも高められるような授業をしなさいと言っている訳です。

 

では、実際にどのような授業をすれば、英語力とself-esteemの両方を高められるのでしょうか。

 

下記の画像はLearning World Book 1 指導マニュアルUnit 6-2 “At dinner time”のページです。レッスンの中でやるべき活動が、画像入りで紹介されています。

 

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活動1には、「切り取った食器カードシートを使ってテーブルセットの方法を提示します。と書いてあります。そして左には、生徒がホワイトボードに食器カードを貼っている写真が載っています。

 

提示します」を額面通りに解釈すれば、「スプーンはここに置きます。」「フォークはここに置きます。」と生徒に説明しなさいと言っているように受け取れます。しかし、それでは写真にあるように、生徒が前に出て食器カードをホワイトボードに貼る必然性が生まれません。著者の思いと写真の様子から紐解いて行くと、この活動は次のような解釈ができます。

 

「ここでは、テーブルセッティングについて教える前に、生徒にどこにどの食器を置けば良いかを当てさせます。食器カードを正解だと思う場所に置いたら、“I think the spoon goes here.”と言わせます。その場所が間違っていると思った生徒は、“I don’t think so. I think the spoon goes here.”と言いながら、自分が正解だと思う場所に食器カードを置きます。

 

この段階では、生徒はまだ片言レベルの英語しか話せません。英語が上手く言えなかったり、英語に間違いがあるのは当然です。教師は生徒が発話をする度に、必要なフィードバックを与えたり、教師の後についてリピートさせたりしながら、生徒が徐々に正しい英語を使えるようにして行きます。

 

こうした活動を通して自分の意見を言うことは、コミュニケーション力の向上に役立ちます。また、賛成や反対の意見を言うことは、個の確立に役立ちます。

 

この活動でもう一つ大切なのは、生徒が間違いを恐れていないか、他の子の意見に左右されてはいないかを、教師がしっかりと見極めることです。日本人は自分の意見を曲げてでも、他に同調する傾向があります。生徒に思ったことをストレートに表現させるには、自由で楽しい雰囲気作りはもちろん、生徒のself-esteemを高める必要があります。

 

生徒に自分の意見をはっきり言うことの大切さを教えるには、生徒が勇気を持って自分の意見を言った時に、正解した時以上に褒めることです。例え答えが間違っていても、自分の意見を言えば褒められることが分かれば、生徒は次第に間違いを恐れなくなります。」

 

いかがでしょうか。指導書に書かれているのは、「切り取った食器カードシートを使ってテーブルセットの方法を提示します。というたった1行ですが、その1行の活動に、コミュニケーション力を育む要素と、self-esteemを育む要素の両方が含まれているのです。

 

「なるほど。そういう風に説明してもらえば良くわかる!」「だったら、最初からそう書いてくれればいいじゃないか!?」そう思われる方もいるかもしれません。しかし、そこまで書いたら、指導マニュアルは辞書並みの分量になってしまいますし、一から十までマニュアルに頼ってばかりいては、教師としての成長もありません。

 

Learning Worldシリーズは教え手を選ぶ教材です。著者の意図が分からなければ、その良さを理解することはできません。しかし、一旦その良さを理解できれば、英語を教える面白さに目覚め、授業に醍醐味を感じられるようになります。

 

 

self-esteemを育む授業 “This is my dinner.”

 

下記の動画は、Learning World Book 1 Unit 6-2 “At dinner time”のところで、うっち~がテーブルセッティングについて教えている様子です。1人1人前に出てやり取りをさせると、時間が足りなくなってしまうので、ここでは食器を置く場所を教えるだけに留めています。しかし、最初に生徒達に食器を置く場所を考えさせるだけでも、学習意欲は高まります。動画の後半は、この活動の後に覚えたチャンツを復習している様子です。Learning Worldシリーズを徹底的に楽しむと、チャンツもあっという間に暗記できるようになります。覚えたチャンツは繰り返し復習することで、長期記憶として保存されます。

 

☆チャンツ『Let’s Eat Dinner』の導入と復習(LW Book 1)☆小2(2002)

 

下記の動画は、食器を置く場所を生徒達に考えさせた後、正解を知るために見せている動画です。先に正解がわかっていると、集中して見てくれませんが、早く正解を知りたいと思えば、動画を食い入るように見てくれます。

 

☆Manners & Responsibility Teaching Your Kids to Set the Table

テーブルセッティングの方法を学んだ後は、テキストに食卓の絵を自由に描かせます。食卓の絵を描いたら、1人ずつクラスの前に出て発表します。下記の動画は、WELCOMEのBLUE Bookでやった“This is my dinner.”の復習をしている様子です。WELCOMEの頃から人前で発表することに慣れさせておくと、積極性とself-esteemをより高めることができます。

 

☆BLUE BookでQ&A☆小1(2002)

生徒が描いた食卓の絵を写真に撮ったり、ジグソーパズルにしたりすると、self-esteemはさらに高まります。ありのままの自分を認めてもらうことの喜びを知ると、生徒は絵が上手でも下手でも、英語が上手でも下手でも、自信を持って自分を表現できるようになります。

 

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★あわせて読みたい過去ログ ⇒ 【iPad活用術】 レッスンにジグソーパズルを活用する

 

下記の2つの動画は、Unit 6-2 “At dinner time”が終わった後、学習をさらに発展させて、夕食のメニューを多数決で決める活動をしている様子です。多数決でひとつのものを決めようとすると、自己主張をする子、それに反対する子、他の子に同調する子、意見を言うことを回避する子など、個々の特徴が浮き彫りになります。それをしっかり観察した上で、妥協することを学ばせるべき子がいる場合は、協調性を必要とする活動を盛り込む。主張することを学ばせるべき子がいる場合は、積極性を必要とする活動を盛り込むなど、授業に工夫を加えると、個の確立が促され、self-esteemが高まります。

 

☆夕飯のメニューを多数決で決める英語活動①☆小3(2003)

 

☆夕飯のメニューを多数決で決める英語活動②☆小3(2003)

 

英語力とself-esteemの両方を高めるには、常にそのことを意識し、常にそれを意図した活動を実践し、常に必要な言葉かけをして行く必要があります。それは、1回や2回の授業でできるものでも、テキスト1冊や2冊でできるものでもありません。それは、生徒の成長に合わせて、教師が何年もの時間と手間をかけて育んで行くものです。

 

★合わせて読みたい過去ログ
自尊感情(self-esteem)を育むことがなぜ大切なのか

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