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なかもとと友かな

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ご存じアプリコット出版筆頭著者。 元AIM English Studio (大阪・堺市)主宰。 Learning World series、『キッズ英語絵本シリーズ』等アプリコット出版刊行物多数。 幼児・小・中・高・大学・大人と全年齢層の英語教育実践家で児童英語教師のカリスマ的存在。 APRICOT児童英語教師養成講座講師。Learning World 認定校スーパーバイザー。
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  • Vol.18  ぴらぴらと編集会議      2015年4月

    現在、私は週に1度だけ大学で教えていますが、たった週1度でも、春休みになると解放感があり嬉しいものです。おまけに大学の春休みは長い!! 前々回に書きましたように、大学に後期の成績を提出し、アプリコット出版、編集長の新井氏と3日間のバトルを終え、アメリカ、メキシコの旅行に出ました。帰国後間もなく、私の尊敬する青木昭六先生と仲間達で行っている英語教育勉強会の春の1泊遠足があり、その後、またまた、脱稿したはずの原稿にいっぱい付箋をくっつけて東京から新井氏がやってきました。新しいテキストが出版されるまでには、著者の私以外にデザイナー、イラストレーター、英語担当の編集者、native のスタッフ、音楽編曲及び製作担当、録音ディレクター、印刷担当と大勢の方が関わっていて、多くの時間がかかります。企画会議から始まり、執筆しながらも、より良いものを作るために、私と編集長のバトルは延々と続くのです。新井氏とは、ラーニングワールドシリーズをはじめ、絵本シリーズや『実践家からの児童英語教育法』と、もう20年以上、二人三脚で制作、出版していますので、お互いに相手を攻略する術を知り尽くしています。

    敵 (新井氏)は、私の大事な原稿にいっぱい付箋をぴらぴらつけて、東京から意気揚々と私の執筆場所の兵庫県芦屋市にやってきました。「先生!ここの記述がおかしいです」「この例文をもう少し短くしてください。でないと紙面に入りません」「この部分は確か、前ページにも出てきましたよ」「ここはもう少し噛み砕いてだれにでも理解できるようになりませんか」と攻めてきます。気の弱い私は、一応はすべてのぴらぴらに抵抗を示すものの、ひどく傷つくのです。

     

    そんなある夕暮れ、私は彼女をちょっと素敵なイタリアンレストランに誘いました。大型クルーザーが何隻も停泊している芦屋マリンハーバーのクラブハウスの中にある最近お気に入りのレストランです。沈みゆく太陽に照らされるクルーザーを見ながらのテラス席でのワインと食事、でも、ロマンチックな気分には程遠く、「これからまだ夜は長いですよ。食後も仕事を続けますよ!」「ワインの2杯や3杯で仕事ができなくなるなんてプロじゃないよ。はっはっはっ!」とお互いを牽制しあうこと2時間。結果、仕事場に戻り、仕事を再開してから最終バスが出るまで、アルコールが回ったのかますます饒舌になる新井氏は、ぴらぴらを振り回し、私を責め続けました。機嫌よくホテルに帰っていった彼女を見送った私は、新井氏に指摘された懸案事項が気になって酔いもふっとんでしまい、翌朝、新井氏がまたやってくるまでに、指摘された箇所をすべてrewrite したのです・・・

    「ええっ?先生、朝早くから書いてくださったんですか。ありがとうございます」と神妙な面持ちでお礼を言う新井氏。でも私はその陰の「ふふふ、やればできるじゃん」という不敵な笑みを見逃しませんでした・・・。そんな中、溜飲が下がったのは、私の愛犬が飼い主の敵とばかりに彼女の前でおしっこをしたことでした。でかした!カプチーノ(愛犬の名前)。

    次作、ラーニンワールドシリーズ“Bridge”(仮称) を乞うご期待!

    その後、元生徒達と一緒に1泊4日(!!)の驚くべきグアム旅行をこなし、私の春休みは終わりました。

    芦屋レストレン画像   2014 151

    Vol.15 ラーニングワールドシリーズと私

    あしかけ30年にわたる英語教育の中で、私は、幼児、児童、中学、高校の垣根を取り除き、常に“使える英語”を教えようとしてきました。 「なぜ、日本人が英語を使って国際的にコミュニケーションするのが苦手なのか」、「従来の英語教育のどこが間違っているのか」を探り、その日本の英語教育をどうすれば、もっと楽しく、効率良く英語を言語として習得できるのかを考え、実践し、試行錯誤を繰り返してきました。
    ラーニングワールドは、その中から生まれた全8巻のコースブックです。 WELCOME to Learning World PINK Book からTomorrow まで、執筆の都度、実際に教えている目の前の生徒一人一人の英語が少しでも進歩するようにと子ども達の顔を思い浮かべながら、書き重ねていきました。出版社の営業会議からではなく、現場から生まれたテキストです。1.LWシリーズ 「教える」という作業は、与えられた教科書をこなすことではなく、生徒全員が聴く、話す、書く、読むという4技能を使って、実際の場面で英語でコミュニケーションできるようになって、初めて「完了」するものです。 そう考えますと、英語の先生で英語を「教える」ことを「完了」した先生は何人いらっしゃるでしょうか。 6年間の英語教育の無駄を省き、もっと効率的に教えるべきです。

    PISA (国際学習到達度調査)Program for International Student Assessment によると、学力とは「学校での学校カリキュラム(知識)の習得ではなく、学校で得た知識や技能を実生活で 活用できる能力、人生のさまざまな場面で遭遇する課題を解決する能力」であるということです。

    ラーニングワールドシリーズは、英語を使う活動を第一に考えています。 英語の授受がなされて初めて解ける課題を与えて「英語を使う」体験をし、その後、チャンツや歌を使って、ターゲットの語彙や文の定着を図ります。次にターゲットの文や語彙を使って自分のことを伝える英文作りと、それを口語で相手に伝える練習があります。その過程で、子ども達は自分の考えを持ち、まとめ、相手に効率よく伝える方法を学びます。

    日本の英語教育が上手くいっていないのは、国民みんな承知のことでしょう。 既成の流れを変えるのは、むずかしいことですし、勇気のいることだと思います。 しかし、従来のパターンプラクティス、部分訳、書き換え問題から脱却し、言語教育としての英語教育に新しい一歩を踏み出すのは、私たち教師ひとりひとりなのです。「教師」という職業は手を抜こうと思えばいくらでもできる一方で、真剣に捉えると、やるべきことは限りなくありますね。
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    今回、アプリコット出版のホームページリニューアルにあたって、今までのメルマガに載せていただいた、私が感じたり、考えたりしたことを書いたエッセイを手直ししてバックナンバーとして載せています。合わせて一読いただくと幸いです。

    Vol.14 キッズ英語絵本シリーズ(全10巻)に託した想い 

    アプリコットキッズ英語絵本シリーズ(Picture Books)には、各巻にターゲットの文や語彙が設定されていて、繰り返しが多く、本を読み終えるまでに、ターゲットの文が自然に口から出てくるように構成されています。
    ストーリー展開の場面(situation)にあった英語が身につくのが絵本の魅力です。同時に、このシリーズには、子ども達の自尊心(self-esteem)を高めるメッセージが各ストーリーに入っています。 言語学習には自分を正しく認め、他を受け入れることができるself-esteemの向上が必須だと考えるからです。
    今回は第10巻”What’s this?“に託した私からのメッセージについてお話しましょう。

    2.vol.10

    この絵本は、いろいろな小動物から見た一本の木が題材になっています。木の根元にいるリスは、「これは洞穴だ」と言い、枝の上にいる蛇は「橋」だといい、夏にいる虫は「いいや緑のカーペット」だと言い、秋にいるカマキリは「緑ではなくてオレンジ色のカーペットだ」と言います。冬に空から見た鳥は雪が積もった木を見て「綿菓子」だと言います。

    「木を見て森を見ず」という諺は、部分だけを見て全体を見ないことを諫めていますが、この絵本で伝えたかったことはそうではありません。私が伝えたかったのは、これらの動物達がみんな「間違ったこと」を言っていないということです。それぞれが自分の立場、目線で「それは何か」と一生懸命考えているので、答えは違っていても、みんな正しいのです。

    ある物事、ある出来ことには、一面だけではなく、いろいろな面があり、それを見る人の立場や経験そして、偶然的なcircumstanceによって見え方が異なります。

    経験が未熟な人だから誤った見方をする、ということではなく、 未熟ゆえに、その人にしか見えない見方があるかもしれません。逆に、知識がたくさん入りすぎて見えなくなるものも、たくさんあるのです。

    あなたの生徒が“あなたの考える「間違ったこと」を言った時、少し止まって考えてください。どうしてその子どもがその結論に達したかを。もしかして、その答えの中にあなたが見ることができない”宝石”が隠されているかもしれません。あなたの周りの人があなたと異なった意見を主張した時も、少し考えてください。
    その人の経験、知識、環境、立場を。 もしかしたら、その人の考えはあなたと違うけれど、あなたの意見と同じように正しいかもしれません。

    絵本10巻の「あとがき」に書いてあるメッセージと少し違うって? これを、わたしが、年齢を重ねたための「成熟の過程」ととられていただけると幸い(!?)です。

    Vol.3 ラーニングワールド改訂で、私が一番こだわったこと。  2010年8月

    2006年から始まり足かけ4年にわたって携わってきたLearning World Book 1,2,3の改訂がやっと終わりました。テキスト、ワークブック、音声、カード、教具、指導書と、新刊ではないけれど1冊1冊緻密な打ち合わせと時間がかかる膨大な作業です。
    制作スタッフも、著者である中本、内容を吟味し先生方のニーズに合ったものかを調べる編集部、個々の絵を描くイラストレーター、イラストを総合的にまとめるデザイナー、録音に関わるタレント、録音からCD制作まで行うスタジオのスタッフ、ミュージシャン、印刷、製本と本当に多くの人が1冊のテキストに関わっています。改訂版の指導マニュアルには、使い方が一目でわかるように、コマ送りの写真を入れましたので、撮影部隊としてカメラマンやモデルも加わりました。

    図5 指導書カラー 

     

    この改訂で私が一番こだわったのは、ラーニングワールドの基幹である、コミュニケーションタスクを持つ活動を各レッスンに入れること(Task-based Learning)です。
     
    『英語教育用語辞典』によりますと、Communication Taskの条件としては次のものがあります。

    ・学習の目標として到達すべき特定の到達点や目標が設定されている

    ・目標言語を使って情報交換をしなければ、タスクを遂行することができない

    ・実際のコミュニケーションと同じ、もしくは似ている作業である

    ・タスクの内容は現実の社会生活と深く関連したもので、学習者の知的関心に合ったものである。

    ・タスクを主体的に行うのは教師ではなく学習者

     

    わかりやすくするため日本の英語教育で取り入れられているPPPと比べながら説明しましょう。
    PPPでは、まず教師がレッスンのターゲットの文(文法)を提示します(Presentation stage)。次に、先生の後についたり読んだり、ペアになって音読練習をターゲットの文が正しく言えるようになるまで行います(Practice stage)。 この活動は、パターンプラクティスや文の前半と後半をマッチさせて文を作る、質問して文やダイアログを完成させるような作業です。3つめのProduction stageはターゲットの文や既習の文を使う練習です。
     
    一方、Task-based Learningでは、タスクを行うことがレッスンの目標となります。
    目標を解くために必要な新出、既習の語彙、文を提示し、タスクについての説明をします(Pre-task)。情報交換をしながらタスクを解きます。結果をクラスで発表する準備をし、クラスで発表します(Task-cycle)。最後にタスクの解決過程で使った語彙、文を分析し練習します。
     
    ラーニングワールドBook1, 2, 3 の改訂版では、このTask-based Learning を基に、日本の子ども達に合うタスクを作りました。
    たとえば、

    ・ターゲットの文(語彙)を使って質問しながら1つの情報源を当てる活動。
    ・みんなで意見を出し合って作り上げる活動。
    ・3人以上の人が各自違った情報を持っていて、それらを合わせて一つの答えを出す活動など
    です。

     

    その後、生徒1人1人がターゲットの文を使って自分のことを発表します。Post-task はターゲットの語彙や文の定着をチャンツで効率よく覚えられるように工夫しました。

    Jane Willis のFramework と 中本が考えた日本の子ども達のためのFrameworkは次の通りです。

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    実際の状況を無視した、ターゲットセンテンスのパターンプラクティス中心のテキストが今でも大半を占めていますが、使用目的のない言語はありません。 Meaningful purposeを持たないパターンプラクティスをどれだけ練習しても、英語を使えるようにはならないのです。ここに日本の英語教育の問題点が隠されているのかもしれません。

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