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なかもとと友かな

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ご存じアプリコット出版筆頭著者。 元AIM English Studio (大阪・堺市)主宰。 Learning World series、『キッズ英語絵本シリーズ』等アプリコット出版刊行物多数。 幼児・小・中・高・大学・大人と全年齢層の英語教育実践家で児童英語教師のカリスマ的存在。 APRICOT児童英語教師養成講座講師。Learning World 認定校スーパーバイザー。
  • Vol.9 いじめ問題  

    大津市で起こった悲しい悲劇、中学生の自殺がマスコミに取り上げられるようになってから、新聞や
    雑誌では、さまざまな分野で活躍する著名人がいじめられている人にメッセージを送っています。その中で、多くの著名人、コメンティターが公言し始めた言葉の中に、気になるものがあります。

     

    それは「学校なんて行かなくてよい」「学校を休むことくらい大したことではない」「学校は行きたくなければ行かなくていい」というメッセージです。いじめられて苦しんでいる人に対する励ましとして書いているのかもしれませんが、 紙面上でこのようなメッセージを毎日読んでいると、学校制度の崩壊の危機を感じます。

     
    被害者が学校に頼ることができず、警察に被害届を出す例も増え、学校教育の無力さが如実に表面化しはじめました。当事者である教育委員会、学校、そして個々の先生方は、どう感じていらっしゃるのでしょうか?
    「いじめ」問題にはいろいろの要素が複雑に絡み合っているため、 この限られたエッセイの紙面で取り上げるのはとても難しいことです。

    一つには「すべてが数値で表す現在の価値観」が挙げられると思います。物の価値はお金という数値で測られ、個人のペースは時計という数値で測られ、個人の努力も結果だけが数値で表わされます。すべての人間が一つの基準で測られ、数値が高いもの、時間が速いことが良い、と判断される世界の中で、子ども達が悲鳴をあげている現実。数値で測る単一の基準だけで子どもを見るのではなく、多様性をもつ価値基準を持ち、それぞれの子の良さを見つけ、認め、褒めるという教育の根本のところが抜けている現実。

     
    また、「人に危険なことをさせて、その態度を笑いにもっていく日本のバラエティ番組」、 「人を殺したり暴力を振るうことを前提としたコンピュータゲーム」もあるでしょう。自尊心を育てる教育の欠如、学校側に「いじめの対策」の組織がない、教育側のプロ意識の希薄なども考えられると思います(学校の先生の多忙がよく問題視されていますが、忙しいのは学校の先生だけではありません。医師やビジネスマン、みんなプロとして、過酷な環境の中で働いています)。

     

    “いじめ”という言葉を使うことは好きではありません。「ふざけているだけ」とか「遊んでいるだけ」という言葉にごまかされることが多いからです。 私は「人の嫌がることはしてはいけない」という言葉を使って子ども達を指導してきました。人にはそれぞれの基準があり、自分ではそれがふざけやジョークだと思っていても、言葉や行動が相手を大きく傷つけることがあります。 ですから、自分がどう思うのかでなく、相手を尊重することが大切だと教えなければいけないと思います。

     
    このエッセイを読んでくださっている方々は、公の学校の先生よりも少人数で教えていらっしゃる“お母さん先生”が多いかと思います。たくさんの生徒を相手に授業を進めなくてはならない学校の先生に比べ、一人ひとりの子どもに近い立場で、いじめられる子どもだけでなく、いじめる側の子ども達ともゆっくりface to face で話せる立場にいると思います。英語は、言語を扱う全人教育です。

    ・「学校は行けなくても英語の教室に来れば自分の居場所がある」
    ・「自分を認めてくれる先生がいる」
    ・「英語の教室ではみんながお互いの違いを認め合っている」

    学校の先生でも親でもない“一番信頼できる大人”になりえる私たちが、子ども達にとって羽を休めてエネルギーを蓄えることができる場、安心の場となるような教室を作っていきましょう。先生が神経質になりすぎたり構えたりするのではなく、緊張した子どもの心をスコンと解放させてあげてください。

    Vol.8 アプリコット出版の編集長、新井氏と私  

    大阪でおこなわれたAPRICOT児童英語教師養成講座で、新井氏と私の会話を聞いていた受講生の皆さんから、「漫才より面白い」とお褒めの言葉(?)をいただきました。新井氏とは、もちろんアプリコット出版の編集長、新井顕子氏です。
    ラーニングワールドを執筆し始めて20余年になります。 この間2人でスクラムを組んで150以上の児童英語教育に関する本やワーク、教具を作ってきました。テキスト作りを通じて、日本の英語教育をより良いものにしようという情熱で固くむすばれた(?)2人ですが、そのエネルギーのぶつかり合いは、大変なものです。
    そんな新井氏と、昨日、久々に夜中の3時30分まで仕事をしました。 千葉と大阪のそれぞれの自宅をスカイプで結び、明け方まで真剣なバトル。2時過ぎになると彼女の手に何かが・・・
    「あっ!ビール飲んでる!」と私。そこはスカイプですから全部お見通しです。
    「なに言ってるんですか、ノンアルコールですよ!」とムキになる新井氏。
    そんな私も、とっくに、ワイングラスを片手に・・・。

     

    新井氏と私は13歳違いですが、彼女の「中本先生から無秩序に出てくる斬新なアイデアをまとめるのがだぁ~い好き!」という褒めているのか、けなしているのかわからない言葉に乗せられ私は本を作り続けているのです。
    「どうしてこれが分からないの!日本の英語教育には変革が必要なの!」と私。
    「わかりますが、それは時期尚早です。出版社の人間として今は認められません!」と彼女。でも、後で必ず会社と掛け合ってくれるのも彼女です。

     

    1冊の本の制作には大勢の人が関わっています。内容を書く著者、本の文字、絵、表紙をデザインするデザイナー、絵を描くイラストレーター、英文校閲スタッフ、音楽を担当する音楽家、英語の文章や歌を収録する声優、それを録音し編集するスタジオスタッフ、CD制作、印刷、製本会社の人。 編集者は、そのみんながそれぞれもっている能力を最大限に生かし、しかも調和をとりながら本を作っていく、ちょうどオーケストラの指揮者のような役割をします。ただし、この新井氏率いるシンフォニーの楽団員は、みんな一筋縄ではいかないツワモノぞろいです。そして、全員が 良い物を作るためには労を惜しまない仕事に対する一途な情熱と純粋さを持っているように思います。新井氏とは、著者と編集者というより「戦友」と言った方がよいのかもしれません。 そんな新井氏と私の20年来の合言葉は「仕事とパートナー(男性)選びには絶対に手を抜かないこと!」。
    おかげで、Learning Worldや絵本シリーズは累計110万部を突破、多くの方にお使いいただいています。そして・・・2人とも良き仕事の理解者であるパートナーを得ることができました!
    時々、顔を見るのもいやになることもあるけれど、これからもよろしく。
     

    *中本先生とは13ではなく14歳違いです。こういう凡ミスの訂正も 私の仕事です。(笑) by新井

    Vol.7 英語を話す意義 (プーケットにて)

    年末の10日間、タイの常夏の島プーケットで過ごしました。7年ぶり2度目のプーケットです。
    7年前プーケットに着いたのは2004年 12月16日。インドネシアのスマトラ島沖のM9.0の地震が発生、津波による被害で日本人32人を含む約29万人が死亡した日。
    プーケットに大津波が襲ったわずか4時間後でした。泊まる予定だったホテルは津波に襲われて大破しており、やっと探し当てたホテルは、断水、停電。ホテルの人が、昨日(クリスマスの次の日でした)の残り物でよかったらと食べ物を持って来てくださり、ろうそくの灯の元でありがたくいただきました。私やパートナーの家族、仕事関係者は私たちと連絡が取れず大変な思いをしたようです。その時のリベンジで今回の旅行を計画しました。

     

    プーケットの町は7年間ですっかり復興していて、車とオートバイで混雑する道路の両側を屋台が立ち並び、人々の威勢のよい声が飛び交うエネルギッシュな町に戻っていました。 リトアニア、エストニア、ロシア、ドイツ、スウェーデン、フィンランド、フランス、イギリス、中国、オーストリア、インド、スイス、アメリカ合衆国と世界中からの観光客がクリスマスホリデイを楽しんでいました。 母国語が異なる人々の共通言語はもちろん英語です。皆さん英語が堪能で驚きました。
     
    そんな中、ホテルのフロントの人に、「英語が話せる日本人に初めてお会いしました。日本人と言えば、英語が話せないことで有名なのに」という、ショッキングなことを言われました。
    日本の携帯電話は、世界で通用しない全く固有の進化を続けているので、ガラパコスの進化論にもじってよく揶揄されますが、日本人のガラパコス化は、携帯電話だけではなさそうです。英語が話せないと、他の国と人とコミュニケーションがとれない。 したがって情報も入ってこないし、出せないのです。 ビジネスや政治だけではなく、 私達のような一般市民にでも英語で情報を交換することが世界を広げることになります。
     
    「今イギリスはオリンピック前で、物価の値上がりがすごいのよ。 B&Bでもロンドンじゃ300ポンド以上するのだから」とイギリスのご婦人。「へぇそうなの。じゃあオリンピックの後に旅行を延期するわ」と私。 「中国に10年暮らして、来年、定年なの。今、老後住む町を探しているのだけど、タイって思ったほどに物価が安くないのね」とフランス人のご夫婦。「それなら、マレーシアが良いわよ。 娘夫婦が住んでいるの」とドイツ人の奥様。「ねえねえ、あそこのレストランの。。。がおいしかったわよ」「そこに行くには、。。。通りを行くとずっと近道」「あの海岸に行くなら、5時頃がお勧め。夕日が素敵よ」・・・
     
    このような話に入って行けない日本人は、自分達だけで日本発行のガイドブックに掲載されているスポットに日本人だけで集まり、場所だけでなく時間帯も、日本人がいる時間帯は決まっていて、その時間を外すと誰一人日本人を見ることがない、という奇妙な日本人ガラパコス現象が起こるのです。英語を話すということは地球人の一員になることなのですね。
     
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    英語のこと以外で、この休暇中、学んだことがもう一つありました。「頑健なものにはあえて刃向かって行くより、添わせていくとうまくいく」 いえいえ、一緒に行ったパートナーとのことではありません。大きくて固い種を持つマンゴーの食べ方です。
    おっと、この場合の「そわせる」は「添わせる」ではなく「沿わせる」ですね。日本語は難しい!

    Vol.6 英文読解ってなんですか?  

    In the box below, draw two vertical lines to make three new boxes that are the same size.Then draw a horizontal line through the middle of all the boxes.This will make six new boxes that are the same side.

    このような英文を見たら、皆さんはどうしますか。
    日本人の生徒にこの英文を見せた時のことです。 読んでいる様子はありますが、それ以上のリアクションがありません。
    「どうしたの?」と私。「ちゃんと訳せました」と彼ら。
    「だから、それから?」と私が尋ねても、「だから訳しました。訳はこうです。
    『下記の箱の中に,同じ大きさの新しい3個の箱ができるように、垂直の線を2本描きなさい。それから、すべての箱の真ん中を通って一本の平行の線を書きなさい。これは同じ大きさの6個の新しい箱を作るでしょう』 です。完璧!」
    ・・・ 私はますますわからなくなって「だから、どうするの?」・・・
    学生達も混乱して「先生、何が言いたいの? この訳完璧でしょ?」
     
    ここでやっと合点がいきました。学生達はこのような英語の授業を6年間受けてきたのです。つまり、生活の中の言語としてではなく、教科としての英語、言い換えると日本語に訳しても、その“意味”を取らなくてよい英語教育です。だから、「線を描きなさい」という訳はできても、自分達が実際に線を描くことは、彼らには考えもつかないのです。
     
    小学生のクラスで、先生が“Jump!” と言った時、子ども達が身動きひとつせずに「跳べ!」と訳を叫んだら、奇妙ですね。 中学校、高校ではこの奇妙なことが、普通に英語の授業でおこなわれているのです。英文を日本語に訳すだけの授業ではなく、その英文の中の情報をとって理解し、実際に役立てる授業にするべきだと考えた私は、毎回授業に、ノンフィクションの英文を作っていくようになりました。
     
    例えば、“眠りについて”の文を読み、「人間は眠るとどんな現象が起こるでしょう。 現象を3つ英文と日本文で書きなさい」「眠れない時の対処法を4つ英文と日本文で書きなさい」といったような設問を作ります。 
     
    「スコーンの作り方」でもよいですし、「なぜ、うるう年があるのか」「日本の貿易」「犬と泊まれるホテルの規則」でもよいでしょう。 ただし、そのあとの設問は、「(  )の中に適当な英語をいれましょう」や「下線部を訳しましょう」ではなくて、
     
    ・スコーンの作り方を英語で説明(口語)してください。 
    ・うるう年とは何か、どうして必要かを英文で説明してください。 
    ・日本の輸出のトップ5は何ですか。 
    ・犬と一緒にホテルに泊まるにはどんなルールをまもらなければなりませんか。
     
    といった内容に関するものにします。 英語で説明した後は、日本語を使って言わせてみましょう。内容を十分理解した後なので、訳すのではなく、自然な日本語に置き換えることができます。
    “Preheat the oven to 175°C.” 「あらかじめ、オーブンを175度に暖めておくこと!」
    “should be trained not to bark unnecessary” 「無駄吠えしないようにしつけておくこと!」
    ・・・学生達の目が輝いています。

    Vol.5 喧嘩に勝つ方法?  

    世の中にはいろいろな対立があります。 国と国との対立、政権の対立、政権内での対立、会社での上司との対立、友人の対立、夫婦の対立など、異なった立場の人がそれぞれの立場による考えを主張し、自分の利益、立場の安定を得るために対立します。 ここで注意しなければいけないのは、対立と議論を混同してはならないということです。
     
    議論とはさまざまな異なる意見に耳を傾け、交換し合い、互いの良い点を構築し、より良い結果を導き出すことですが、対立は互いの弱点を攻め合う結果に陥りやすく、そこには共通のより良い結果が存在しません。ところが、自信(self-esteem)の低い人は相手の悪口を言うことによって自分を安心させようします。相手を批判するのはとても簡単ですが、相手の長所、短所を知り、長所から学び、短所を補いながら現状を改善していくことが大切だと思います。
     
    モンスターペアレントという言葉ができて久しいですが、読者の先生方も、養育者の一方的で妥当性のない批判やクレームに悩まされている方は多いと思います。そして先生方も、そのペアレントを心地よく思っていらっしゃらない場合が多いでしょう。それが対立です。春には先生が親を訴えたこと件もありました。でも、思い出してください。 自信・自尊心(self-esteem)の低い人ほど相手を批判したり攻撃したりするのです。私は、そのような場合、養育者の方にまず、自信を持っていただくように導きます。
     
    「今は、我々が対立している場合ではありません。お互いに手を組んで、○○ちゃんのために頑張る時です」「○○ちゃんがより良くなるため、より安定するためにご家庭として何をするべきか、教師として何をするべきかをタグを組んで一緒に考えましょう」「教師として私は 。。。。のことをしますが、 。。。。についてはお母さんやお父さんの方が断然優れています。ですからご家庭では 。。。。のことをしてください。そしてお互いに情報を交換しましょう」と、微笑みながら提案してみてください。
     
    私が大切にしていることは“Respect others”という言葉です。日本語にすると、「他人を尊重しなさい」という意味です。たとえ自分が何とも思っていなかったことでも、それが人の嫌がることであったり、人を傷つけたりして思いがけない結果を招くことがあります。私は生徒にはわかりやすく次のように説明します。
     
    ・人の嫌がることはしない
    ・人に失礼なことはしない
    ・自分の価値観を押し付けず、人がどう感じるかを考える

     
    そして、他人を尊重できる人が本当に強い人だと話します。その上で、どういう風に言うと相手が自分の意見を理解し、受け入れてくれるかを考えます。この方法が、人を動かしたり、説得したりする最も有効的な方法(攻略法)です。対立せずに、プラス方向に回って行く「流れ」を作ることです。
     
    「相手に勝つには、相手を否定したり、悪口を言ったりするのではなく、相手の良いところを全部受け取って、その上に自分のオリジナルの良いところを1つ付けるだけで良いのです」これは、ビジネスコンサルティング会社の船井総研の船井先生の言葉です。人の悪口や批判が多い人は結局周りから信頼されません。いつもにこにこして、さらっと“勝つ”生き方が好きです。

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