コミュニティ

なかもとと友かな

新着
カテゴリー
プロフィール
ご存じアプリコット出版筆頭著者。 元AIM English Studio (大阪・堺市)主宰。 Learning World series、『キッズ英語絵本シリーズ』等アプリコット出版刊行物多数。 幼児・小・中・高・大学・大人と全年齢層の英語教育実践家で児童英語教師のカリスマ的存在。 APRICOT児童英語教師養成講座講師。Learning World 認定校スーパーバイザー。
  • Vol.1  「あぁ、私の元太くんが壊れていく・・・」  

    AIMを“卒業”した私は大学院に通う傍ら、自宅で中学生を3人だけ教えています。丸いダイニングテーブルに3人が、私から同じ距離で座ります。均等にそれぞれを教えられるのは定員3人だと思っています。
     
    “Scaffolding ”という言葉を教育学を専攻した人ならだれでもご存知だと思いますが、一人ひとりの生徒の能力、性格、環境までを把握し、それぞれの子ども達が自分のペースで一歩一歩進んで行く“足場”を作ることです。生徒一人ひとりへの教え方、課題の難易度が違って当然です。
    「scaffoldingが自分の満足のいく質で行うことができる人数は3人」。これが私の結論です。ごめんなさい。小学校の先生や塾の先生から「何を夢みたいなことを言ってるんだ!」とお叱りを受けそうですね。卒業後の私のささやかな楽しみですのでご容赦ください。
     
    さて話は元にもどります。「私の大切な元太くんが壊れていく…」
    元太くんは小学1年生の時から英語を習っています。5年で英検5級に合格しました。リスニング、スピーキングにおいては、4級以上の実力があると思います。ところが、私立の中学に入ってからは、文法やスペリングを山のように覚える授業が続きます。その後、クイズのような問題満載のテストが待っています。
     
    「彼女はだれですか」をいう問題を見て「あれ? さっきは、Who is this? で正解だったのに、下線が2つしかない!」と元太くん。「そうね。だからWho is をWho’sに省略しなければ書くことができないね」と私。「どっちでも同じ意味なのに。どっちでも正解なのに」と元太くん。
     
    「下線部が答えの中心となる疑問文を書きなさいってどういう意味?」
    My name is Ann Green.の下線部を問うという問題が理解できなかったようです。私が説明すると、「??…最初から名前はAnn Green とわかっているのに、なぜわざわざ質問するの?」…
     
    次の問題は「下線部を複数形にして書き換えなさい」That boy isn’t my brother.
    「まず、boyをboysに替えると、thatがthoseになり、isn’tもaren’t にしなければいけないし、あっそうだ、brotherもbrothersにしなければいけない」と元太くん。
    このような問題ばかりをしていると、だんだん頭がこんがらがってきて、たいてい1箇所か2箇所は間違ってしまいます。
     

    次の質問文に対する正しい答えを選びなさい。
    Does Mary like science?

    【1】 Yes, she is.  【2】 Yes, she does.  【3】 No, she don’t.

    つい最近までこのような問題で、「だいたい、メアリーってだれかわからないのに理科が好きかどうかわかるはずがない!」と文句を言っていた元太くん、中学で英語の勉強をするようになってまだたった3ヶ月なのに、もう、「先生、doesがついていたら、doesがついている答えを探せばよくてあとは何が書いてあっても見なくてもいいんだよ!」と自慢気に言うようになりました。
     
    私と同じように大学院で勉強をしている北村先生(元私立小学校英語講師、現吹田市英語教育アシスタント)と共に児童英語教育を5年以上受けた中学1年生を対象にアンケート調査をしたところ、小学校の時英語が得意だと思っていたのに、中学入学後にそう思えなくなったという生徒が全体の34%もいました。
     
    中学英語ってなんだろう。元太くんには言語としての英語の実力は十分あります。彼にLearning World for TomorrowのUnit 1-3のリスニングテストをしたところ、まさに“a piece of cake”
    いとも簡単に全問正解しました。でもその実力を壊していくような授業が続きます。そして残念なことに1学期が終わった今、彼はすっかり中学英語に慣れてしまい、英語が言語であることを忘れ始めています。元太くんが壊れていく!
    日本の英語教育は本当にこれで良いのでしょうか。

    Page Topへ